ミライ:担当営業から柿の贈答についてリピーターの売上をしっかり維持されていると聞きました。リピーターのお客様はどのくらいの割合ですか?
はい。お陰様でリピーターのお客様が殆どです。新規は1割くらいですね。
殆どの注文はダイレクトメールで送った注文書がFAXで返信されてきたものです。電話でのオーダーは2割くらいかな?その電話も「去年と一緒で」という注文です。なので、過去の履歴を参照できる宅配管理システムを導入して本当に楽になりました。もちろん「去年と一緒で」は、お客様に信頼していただけているからこそできる事です。ありがたいと思っています。
ミライ:ダイレクトメールで注文が来ないお客様へはお電話でフォローをされているとお聞きしました。大変なお仕事ですね。
いいえ、気になったお客様にかけているだけですから。
ミライ:気になったお客様とは?
まずは、毎年注文があるのに今年だけ来ていないお客様。
ダイレクトメールは2品種一緒に送っているので、あとの富有柿の出荷時期までは時間があります。
こちらは注文をお忘れになっているお客様もいらっしゃるので、お電話を入れると皆さん喜ばれます。
あとは毎年両方の品種の注文があるのに今年は片方だけとか…一応注文内容を個別に確認してお電話しています。
ミライ:なるほど。お電話でのフォローと聞くと営業的な要素を強く感じましたが、お客様との信頼関係が出来あがっているので、お電話も感謝されるわけですね。お電話を待っているようなお客様もいるのでは?
そうですね。電話でのサポートと言っても、注文や発送状況の確認ばかりではありません。時には、柿の生育状況や今年の柿はどうなの?なんて、柿そのものに関するお話をお客様と長時間する事もあります。
でも、そういったやりとりが当園の柿を知った上で安心して買っていただける関係づくりに繋がると思っています。私にとってはとても貴重な時間です。
ミライ:お客様対応は弘子さん以外の方もされるのですか?
以前お客様との電話でちょっとしたトラブルがありました。たった1本の電話でもお客様をなくしてしまう事があります。だから、その一本の電話を大切にしたいのです。そういう事を考えると、お客様のサポートは全て自分に任せて欲しいと思うようになりました。
人と人との関わりですから、信頼関係を築くには時間がかかります。もちろん主人との間で、園としてのお客様の対応に関する考え方が異なる場合もありますが、お客様の対応に関しては私の意見を尊重してもらえています。
ミライ:それぞれの役割がしっかりできていますね。そんなご主人のものづくりへのこだわりも大きいのですか?
そうですね。十分な色を出してから送ること。色の規格には拘っています。ただそうすると柔らかくもなるので、傷みも想定されるのですが、お客様に喜んでいただく為に拘っています。もちろん出荷時期を早くした方が価格も高くなるのですが、贈答品以外もこの点は一緒です。
選別も厳しくしている方だと思います。そのおかげで商品のクレームは殆どありません。
ミライ:少ないクレームですが、対応の時に心掛けている事などありますか?
たとえクレームがあったとしても、それは次に繋がるものです。同じ間違いを繰り返さないように、とにかくどんな小さな事でもいいのでお客様の話をよく聞きます。もちろん商品も確認します。
以前こんな事もありました。一昨年の猛暑の際、太秋の贈答をはじめた頃だったと思いますが、傷みが発生してお電話をいただきました。ご連絡はその1件だけでしたが、その日送った50件ほどのお客様全てへ事情を記載して再度商品を送りなおした事がありました。中には「何も傷みなどなかったのに…」とわざわざお電話をいただいたお客様もいらっしゃいましたが、贈り物だとクレームをしにくいお客様もいるだろうし、せっかくの年に一度の贈り物に、もしもの事があったら申し訳ないという気持ち。ただそれだけでした。この時も主人にはやりすぎだと言われましたね(笑)。でも、私はいつも大切な贈り物を預かっているという気持ちでお客様に接しています。
ミライ:他の農家さんと違うところはどこですか?
う~ん。主人と考えてみたのですが…。一つだけあるとすれば、この辺りの農家さんは殆どが、直接的な生産業務とお客様の対応や事務作業を掛け持ちで行なっています。
ですが、私は柿の繁忙期だけは収穫はせずに事務作業のみを行っています。これは、贈答柿の量が増えてきて自然にこのような体制になってしまったのですが、事務作業やお客様のサポートに集中する事で、お客様それぞれの情報も頭に入り、効率よく作業をこなせるようになってきました。
ミライ:新規のお客様向けに何か宣伝はしているのですか?
宣伝は一切していないのです。農園の看板も出していないし、地域的に観光客が来るような場所でもないのです。ただ、一か所だけ下呂温泉近くのお土産屋さんに柿を出荷していて、そこで買っていったお客様からお電話をいただきます。農園の連絡先を記載した小さなカードを入れているだけなのですが、それを見て電話くださるんですよ。本当に嬉しいです。なので新規のお客様は殆ど電話です。太秋柿のお客様が多いのも特徴的ですね。
ミライ:そうすると、ここまでお客様が増えたのは口コミという事ですか?
そうですね。今回改めてデータを確認してびっくりしました。私が嫁いできた26年前には贈答品のお客様は20件でしたから。
その頃は出荷できない規格外の柿を知り合いに配ったりしていました。そこから柿を食べて美味しかったとお客様が少しずつ増えてきたんです。
ミライ:今ではその100倍以上ですね。
本当ですね。だから事務作業やお客様対応に専念するようになったのも、そんな流れからなんです。
お客様が増えてきて、手書きでは追いつかなくなって、農業新聞で見つけた宅配管理システムをお友達が使っていて。システム化も同じように事務作業が増えてきた流れで導入せざるを得なかった訳です。
ミライ:積極的に宣伝をすれば、更に新規のお客様を増やす事もできそうですね。ホームページの取組みも視野に入れているとお聞きしましたが、やはり新規のお客様向けにですか?
いいえ。実は跡取りがいないので、規模を拡大する予定はないんです。しかし、今あるお客様を大切にする為にホームページも使いたいな。と思っています。
今は年に1回のダイレクトメールに御挨拶状を入れるだけですから。
本当に皆さん長いお付き合いのお客様ばかりなので、近況報告みたいな、こちらの状況をお伝えできるような。そんな事をしたいなと考えています。
ミライ:ダイレクトメールにもちょっとしたおもしろい仕掛けがあると聞きましたが…
えっ?ああ、封筒の色だけ拘っています。柿色・オレンジ色の封筒で送っています。お客様が「ああこの時期が来たんだな…」と封筒を見ただけで分かるように。
それだけは続けています。
ミライ:そうですか…主力の柿以外に花や野菜も作られているとお聞きしたので、新しいお客様や新しい商品も模索されているのかな?と思っていました。
実は現在4人のパートさんに来ていただいていますが、年間雇用という形をとっているので、少し余裕のある時期にできるものと、野菜の生産をスタートしたんです。
もちろん収穫時期以外も仕事はいろいろとあるんですが、アスパラやとうもろこしなどはまだ初めて間もない為、宅配の形式はとっておらず、直売所での販売が主です。今年は5月の忙しい時期に、シルバー人材さんから3名の男性に来ていただきました。シルバーと言ってもまだお若くとても助かったのでまたお願いしたいと思っています。
ミライ:雇用の場としても農業はとても重要ですね。
そうですね。でも最初にも言いましたが、自分がお客様サポートに専念できるのは、こういった体制作りができたからこそです。主人やパートさんに助けてもらってはじめてできた事です。本当に恵まれているな、と思っています。
注文書印刷:よくデパートなどで昨年送ったお中元やお歳暮のリストなどをもらうと、こんな事したいな…と思っていたので、それができるようになった時とても嬉しかったです。もちろんお客様にも好評ですし。
古いバージョンではできなかったけど、商品別に注文書を印刷できるようになって 、更に便利になりました。うちは2品種あるので本当に助かっています。
【V7の機能UPポイント】
注文書の個別印刷機能を追加。現在は過去に発送した届け先を全件表示していますが、個別に表示したい届け先をチェックできる機能です。最終購入日を確認できるので、去年送った届け先だけ指定する事なども可能です。
また、お客様のご要望で窓あき封筒対応の書式を増やしました。タックシールなどを貼る手間もコストも省けるので大変好評です。ぜひご利用ください!(ミライソフト)
濃尾平野のほぼ西北端にある、山と川に囲まれた美しいまち揖斐郡大野町。
太陽と大地に育まれた柿がお客様に喜ばれています。
かんたん宅配管理システムプレミアムは2005年から使用。
現在Ver7で使用7年目。
送り状発行から請求入金、発送管理、売上分析まで。
システムを道具として上手に活用されています。
若原さんとお話してみると「特別な事はしていないのだけれど…」とホンワカした感じで答えられます。ここに凄さがあります。ご自分では当たり前だと思っている日々のお仕事に、他と差別化する様々なノウハウが詰まっているのです。
きっと一緒に仕事をするメンバーやお客様への感謝の気持ち、謙虚さ、心配り。全てがお客様に伝わっているのだと思います。
若原さんの日々のお仕事を助ける道具として宅配管理が使用されている事をとても嬉しく思いました。